第74章 母が倒れた真相

坂東勇は胸の奥がひゅっと沈み、話題を逸らした。

「……君の病気。治療、もう始めたのか?」

「……そのうちね」

林田唯月は視線を落とし、瞳の光を失っていた。生きようとする意志が、どこにも見えない。

坂東勇は信じられなかった。矢吹薫が、唯月の病を見て見ぬふりをするなんて。

友人として知っている。薫は唯月を愛している――はずだ。

けれど、さっき唯月が語ったことは、どれもこれも現実味がありすぎて、否定の言葉が見つからない。

病室には、奇妙な静けさが落ちた。

廊下の向こうで、看護師が行ったり来たりしている。足音だけが、やけに大きく耳に刺さる。

その看護師が三度目に唯月の病室の前を通り...

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