第75章 あなたは妊娠した

林田唯月は、ふっと静かになった。

自分の手を見つめ、指先を少しずつ握り締めていく。

そして、呟くように問いかけた。

「ねえ……もし……あの人たちが大事にしてる人が死んだら、苦しむのかな」

坂東勇は答えられない。答えるのが怖かった。

唯月はいま、感情が崩壊の淵にいる。そんなことは、見れば分かる。

林田唯月は彼の返事を待たなかった。待つ必要もないのだ。

「……絶対、苦しむよね」

「やめろ、唯月。たとえやったって、楽しくなんかならない」

友人として、坂東勇は林田唯月が罪を犯すのを黙って見ていられなかった。

本当に手を出したら、彼女の残りの人生は檻の中だ。

「どうして、できない...

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