第8章 お前たち、言い足りたか

ドアの向こうから、矢吹薫の冷えた声が届いた。けれど、どこか掴みきれない感情が混じっている。

「もう演技はやめろ……検査結果は正常だ。伴凪も言ってた、お前の閉所恐怖症なんて全部嘘だってな。地下室で少し反省させるだけだ。明日には出してやる」

……

それから三十分。中は水を打ったように静まり返り、扉の内側に残されたのは、幾筋もの血の跡だけだった。

林田唯月は床に身を縮めていた。十本の指は爪がめくれ、肉は裂け、血と泥にまみれている。

壁が、じりじりと迫ってくる気がする。恐怖が大きな手になって喉を締めつけ、呼吸は細く、弱く――途切れそうになっていった。

その頃、二階の監視室。

矢吹薫の眉...

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