第80章 真相は重要ではない

太田晶はこっそり林田唯月を一瞥した。椎名伴凪の「行けるよ」と背中を押すような視線に触れ、彼女は腹を括る。――ここは賭けるしかない。

「そうです。林田唯月さんが私の接客に不満だったんです。皆さんが帰ったあと、私に怒鳴り散らして……それで、わざとお茶を私にかけたんです」

林田唯月は、こうなることを最初から分かっていた。

(だったら最初から熱いお茶にしておけばよかった。少しは痛い目を見せられたのに)

太田晶の言い分は、妙に説得力があった。なにしろ林田唯月の評判は、以前から矢吹薫が何度も意図的にばら撒いた噂で、すでに地に落ちている。

そのうえ、嗅ぎつけたゴシップ記者たちが四方からどっと集ま...

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