第96章 明日が終われば、この茶番も終わる

「ええ、私も同意しました」

林田唯月はもう、彼に対して一欠片の感情も残していない。声も視線も、氷みたいに冷たかった。

「明日の午前10時、車を回す。余計な真似はするなよ」

矢吹薫は彼女をじっと睨みつけ、目の奥から何かを読み取ろうとする。

林田唯月はそれ以上話す気もなく、ドアを開けて出ていこうとした。

――その背中を、矢吹薫が追ってきた。

男は早足で距離を詰め、彼女の手首をぐっと掴む。さっきまでの刺々しさが、なぜかふっと緩んだ。

「林田唯月。明日さえ過ぎれば、全部終わる。今はもう揉めるな。明日が終わったら、ちゃんと説明する。約束する。全部、元に戻す」

「そうね。もう揉めない」

...

ログインして続きを読む