第101章 彼が好きなのか

玉井彩歌は台所の二人のやり取りに割って入ることもなく、音も立てずに自分の部屋へ戻った。

機嫌の悪さなんて、自分で噛み砕いて飲み込めばいい。わざわざ周りまで不快にさせる必要はない。

ベッドに倒れ込み、スマホのアルバムを開く。茫然と、安の写真を見つめた。

一枚一枚、指先でなぞるように確かめる。まるで、その姿を魂に刻みつけるみたいに。

十月十日、お腹の中で育てて産んだ子だ。愛さないわけがない。胸が痛まないわけがない。

悪いのは、自分だ。

安の親権を勝ち取れなかった。しかも……これから先、安は別の人を「ママ」と呼ぶかもしれない。

安は、永遠に知らないのだろう。自分こそが、本当の母親だと...

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