第107章 誰か彼女を助けてくれ

玉井彩歌は相手の言葉を取り合わず、身体を横にして小さく丸まり、そのまま眠りに落ちた。

浅見家から付いてきた使用人二人も、彼女を浅見家の「本当の若奥様」だとは思っていないのだろう。病室にいても玉井彩歌のことなど見えていないかのように、徹底して無視を決め込んでいる。

室内にあるのは、二人のひそひそ声だけ。ほかに動く気配はなかった。

玉井彩歌は唇をきゅっと結び、指先で無意識にスマホの画面を撫でる。

帰れない。

浅見家には、戻りたくない。

浅見朝治が今回なにを思いついて暴れているのかは分からない。けれど、あの様子を見る限り――いったん浅見家へ連れ戻されたら、今度は簡単に外へ出られなくなる...

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