第122章 兄さん、私を信じないの?

その夜、牧野家の別荘。

牧野晴は鼻歌まじりに帰宅した。

今日は浅見朝治と過ごす時間がとびきり楽しくて、食事の最中には、朝治が自分の手で口元まで運んでくれたほどだ。

――距離が、確実に縮まっている。

このままいけば、浅見朝治と結婚する日も遠くない。そう信じられるくらいには。

けれど玄関を上がった瞬間、リビングのソファに沈む人影に、牧野晴は心臓が跳ね上がった。

「きゃっ……! な、なに……って、兄さん? なにしてるの? 一人で座ってるのはいいけど、電気もつけないで真っ暗とか……びっくりするじゃない!」

胸を押さえ、眉をひそめて文句を言う。

ふとテーブルの灰皿が目に入った。吸い殻が...

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