第136章 引っ越し

車に乗り込むと同時にドアが閉まり、外の喧騒がすっと遮断された。

牧野新は隣の玉井彩歌へ顔を向け、申し訳なさそうに言う。

「すみません、玉井嬢。こんなことになるとは思っていませんでした」

家にいるとき、彼は牧野晴にきっぱり言い含めていた。この件は玉井彩歌にきちんと謝るべきだ、と。もし本気で追及されたら、面倒どころでは済まない。

牧野晴も不満そうではあったが、利害は理解している。渋々うなずいた――はずだった。

ところが当日になって「行きたくない」と駄々をこね、甘えとごね得のフルコースで押し切ってきた。結局、牧野新が一人で頭を下げに来るしかなかった。

それなのに。

今日、牧野晴は玉井...

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