第155章 彼女もそんなに良くない

「朝治さん……」

牧野晴が病室のベッドで目を覚ますと、窓辺に立つ浅見朝治の背中が視界に入った。思わず眉をひそめる。

「ずっとそこで、何見てるんですか?」

自分はまだ横になっているのに、付き添うでもなく、心配している様子すらない。その態度が、妙に引っかかった。

――まさか。まだ玉井彩歌のことを考えてる?

呼びかけに、浅見朝治はようやく振り返る。口調は軽く、どこか投げやりだった。

「別に。病室、息が詰まるだろ。ちょっと空気吸ってただけ」

そう言いながら、胸の内では別のことを反芻している。

玉井彩歌を、あんなふうに簡単に離婚させるわけにはいかない。

自分に手を出した以上、代償は払...

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