第161章 朝治さんは私のもの

浅見朝治の顔色は、みるみるうちに険悪さを増していった。

けれど玉井彩歌には、ここで彼に付き合って時間を溶かす気なんてない。

そもそも今日ここへ来ること自体、彩歌にとっては長い時間をかけて心の準備をしてきた出来事だったのだ。

――それなのに、会場に入る前から浅見朝治と鉢合わせ。

気分が台無しだ。

「行こ」

玉井彩歌は振り返り、日野弦羽を見上げた。声色だけが、はっきりと柔らかくなる。

日野弦羽は小さく頷き、浅見朝治を嘲るように一瞥すると、彩歌と並んでホテルの中へ歩き出した。

「待て! 誰が行っていいと言った」

浅見朝治がすぐさま前に出て、冷えた目のまま横合いに立ちはだかる。

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