第174章 抱きしめてもいい?

「母さん!」

牧野新はもう牧野晴のことなど構っていられず、倒れた藤川園歌を抱き起こした。

「誰か、救急車を!」

藤川園歌が意識を失った瞬間、牧野晴の顔にも一瞬だけ心配の色が走った。だがそれはすぐ、硬い決意に塗り替えられる。

混乱に紛れてコートを羽織り、スマホを掴むと、彼女は音を立てないように外へ抜け出した。

こんなこと、したくない。

けれど、仕方がない。

今ここで出なければ、牧野新は絶対に行かせてくれない。

母の発作は昔からのことだ。医者さえ来れば、きっと大丈夫。

それに、自分は医者じゃない。ついて行ったところで、何ができる?

――いまは、もっと大事な用がある。

牧野新...

ログインして続きを読む