第176章 彼は君が好きだ

日野弦羽は彼女が苦戦しているのを見るなり、すぐさま前へ出て手を貸した。

立花晃年はそこでようやく、日野弦羽まで来ていたことに気づく。

一瞬、言葉を失ってから――

「日野社長、どうして……」

「彩歌を送りがてら、迎えに来ただけだ」

日野弦羽は淡々と説明した。

立花晃年の瞳が、かすかに揺れる。

自分が玉井彩歌に電話を入れたあと、彼女はすぐ駆けつけてきた。

彩歌の性格なら、わざわざ日野弦羽に頼んで送ってもらうとは考えにくい。

となると可能性は一つ。

電話をかけた時点で、二人は一緒にいた。

――自分が電話したのは何時だ?

十時半か。十一時か。

こんな遅い時間まで、玉井彩歌と...

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