第191章 自分の家に帰れ

「送っていく」

浅見朝治の声は淡々として冷たい。牧野晴が見せる、助けを求めるような哀れな表情にも、まるで揺さぶられない。

牧野晴は目尻に涙を溜めたまま、信じられないというふうに目を見開いた。

唇がかすかに震える。探るように口を開いた。

「朝治さん……あなた……私に、ほかに言うこと、ないんですか?」

浅見朝治は眉間に不機嫌を滲ませたまま、答えない。外套を羽織り、車のキーを掴むと、そのまま玄関へ向かって歩き出す。

牧野晴は慌てて後ろを追い、出る直前に一度だけ振り返った。さっき電話口にいた女の影を、二階に探すように。

けれど、何も見えなかった。

車に乗り込んでからも、浅見朝治は一言...

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