第198章 彼女はもともと俺の妻だ

浅見朝治は唇を結んだまま、黙り込んだ。

牧野晴の胸が、どくんと沈む。

震える唇で、ほとんど信じられないまま口を開く。

「……まさか、玉井彩歌とこのまま一生を過ごすつもり?」

二人の間に、妙に居心地の悪い沈黙が落ちた。

牧野晴の心がじわじわと底へ沈んでいく、そのとき――浅見朝治が口を開く。

男の声は落ち着いている。なのに、その奥に、執着にも似た所有欲が滲んでいた。

「彼女は、もともと俺の妻だ」

牧野晴は膝が抜け、危うくその場に崩れ落ちそうになる。

浅見朝治がそう思っている可能性は、考えたことがあった。けれど彼は一度も口にしなかったから、牧野晴は自分を騙し続けられたのだ。

―...

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