第211章 チャンスをください

藤川園歌はやわらかく笑った。

「ばかね。そんなに稼いだって、結局は家族に楽をさせるためでしょう? 順番を間違えちゃだめよ」

そう言いながら、安をベビーベッドにそっと寝かせる。振り返ると、玉井彩歌を軽く抱きしめた。

「心配しないで。家のことはこっちでちゃんと回すから」

「……うん」

彩歌は小さく頷いた。目の奥がじん、と熱くなる。

藤川園歌と牧野新が自分を愛してくれていることなんて、何度も何度も確かめてきたはずなのに。

それでも、こうして改めて手触りのある優しさに触れると――どうしようもなく涙がこみ上げてしまう。

翌日、玉井彩歌は出勤した。

家には藤川園歌がいて、安の面倒を見て...

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