第26章 余計なのは私だった

クラブの最上階、ルーフトップテラス。

細い影が手すりにもたれ、眼下の光景を見下ろしていた。

牧野晴は赤ワインのグラスをくるりと揺らす。街灯の下で膝を抱え、小さく縮こまる玉井彩歌を眺めながら、口元に勝ち誇った弧を刻んだ。

たとえ日野弦羽に気に入られようが、浅見朝治の心が少し揺れようが――だから何だ。

自分が少し手を加えれば、あの間抜けな女は勝手に遠ざかる。

牧野晴はグラスを置き、メイクの乱れを指先で整えると、ヒールの音を響かせて優雅に階段を下りた。

玉井彩歌はようやく涙を止め、膝に手をついて立ち上がろうとした。その背後から、ふいに聞き慣れた声が落ちてくる。

「彩歌さん?」

身体...

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