第32章 コンサート

夕食の席。

玉井彩歌は、浅見朝治の隣に空いている席へ一瞬だけ視線を落とし、それから何事もなかったように、いちばん遠い席へ向かって腰を下ろした。

それに気づいた浅見朝日が、わざと彼女の前まで寄ってきて、鼻で笑う。

「へえ。やっと自覚した? うちの兄貴がお前のこと嫌いだって分かって、これ以上ウザ絡みしなくなったってわけ」

玉井彩歌は俯き、茶碗の中の白すぎる米を見つめたまま、何も言わない。

――そうだ。自覚した。

もう、昔みたいに浅見朝治へまとわりついたりはしない。

以前は、少しでも隣に近づける機会があれば、必死で手を伸ばした。けれど返ってくるのは、あからさまな嫌悪だけだった。

左...

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