第34章 愛されないほうが不倫相手

玉井彩歌は勢いよく顔を上げ、信じられないという目で彼を見た。

「私の仕事は、最後の一線なの……」

「一線?」

浅見朝治が鼻で笑う。

「今のお前の一線は子どもだろ。胎児を守りたいなら、外でうろつくな」

「辞めない」

玉井彩歌は唇を噛み、瞳の奥にかすかな意地を灯した。

「どうしてもベビーシッターをもう一人雇ってくれないなら、私が自分でお金を出して雇う」

「好きにしろ」

浅見朝治はその頑固さに腹が立ち、ノートパソコンを開き直した。

「出ていけ。仕事がある」

玉井彩歌は彼をじっと見つめ、それ以上何も言わずに踵を返した。

扉が閉まる。

その瞬間、浅見朝治は閉ざされたドアを見つ...

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