第58章 彼女のサイズ

牧野晴は膝の上に置いた手を、無意識にぎゅっと握りしめた。爪が肉に食い込みそうなくらい力が入っているのに、表情だけはやさしげに繕ってみせる。

そんな中、向かいから秘書の声が飛んでくる。

「かしこまりました、浅見社長。では、玉井嬢のサイズはおいくつでしょうか?」

浅見朝治はスマホを握ったまま、わずかに身体を強張らせた。

結婚して一年。彼は玉井彩歌に服を一着も買ってやったことがない。アクセサリーだって、ひとつも贈っていない。彼女がどのサイズを着るのか知るはずがなかった。

唇を結び、低く言う。

「少し待ってくれ」

そう言うなり通話を切って、玉井彩歌へ電話をかけ直した。

コール音が長く...

ログインして続きを読む