第61章 正式な身分がない

玉井彩歌は彼女を一瞥すると、いつものように堪えて引き下がることもなく、可笑しそうに言った。

「私、子どもに会いに行くのに……あなたの許可が必要なの?」

スカートの皺を指先で払うように整え、ふっと視線を上げて牧野晴を捉える。

「ところで、あなたはいま……どういう立場で私にそれを言ってるの? 浅見家の女主人? それとも、浅見朝治の恋人?」

一語一句が、平手打ちみたいに牧野晴の頬へ飛んだ。

晴の笑みはぴたりと固まり、顔色がみるみる悪くなる。玉井彩歌が、人前でこんなふうに恥をかかせるとは思っていなかったのだろう。

口を開きかけて――けれど、言葉が出ない。

なにしろ浅見朝治は、対外的には...

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