第64章 こうでこそ正しい

浅見老人のひと言で、その場の疑念はいったん押し戻された。だが、下でさざめく私語までは消えない。

無理もない。あまりにも想像を掻き立てる話だった。

ここ数年、浅見グループの実質的なトップである浅見朝治は、対外的にはずっと独身を貫いてきたのだ。

それが今になって、突然、実子の息子が現れた。

となれば、その母親が誰なのか――誰だって気になる。

しかもこのところ、浅見朝治は牧野家の令嬢・牧野晴と、各種の公の場でたびたび連れ立って姿を見せていた。距離も近い。傍から見れば、親密そのものだ。

そのせいで、意味ありげな探るような視線が、自然と少し離れた場所に立つ牧野晴へと集まっていく。

中には...

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