第67章 ただの隣の家のお兄さん

取締役会が終わったあと、浅見朝治は一人、執務室の本革張りの椅子に深く腰を沈めていた。ネクタイは少しだけ緩められ、もともと冷ややかな顔立ちには、いっそう濃い翳りが落ちている。

さっきまで耳元でがやがやと騒いでいた古参連中の言葉が、まだ頭の中で不快に反響していた。苛立ちは収まらない。それなのに脳裏には、今日トレンドに上がっていたあの一枚が、勝手に何度も浮かんでくる。

写真の中では、立花晃年が玉井彩歌を背にかばうように立ち、伏せた眼差しで彼女を見つめていた。今にもこぼれ落ちそうなほど、やわらかな優しさを湛えた目で。

そんな眼差しを、浅見朝治は知らないわけではない。

かつて――玉井彩歌もまた...

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