第72章 ふさわしくない

低く冷たい声が、個室の入口で唐突に響いた。

「日野機長、提携の話をするなら順番ってものがあるだろ」

一同が声のほうを振り向く。

浅見朝治が、氷のような顔で戸口に立っていた。視線は人の間を越え、玉井彩歌の上で一瞬だけ止まり、それから日野弦羽へと移る。

日野弦羽は椅子の背にもたれ、片手で顎を支えたまま、招かれざる客を面白がるように見上げた。

「浅見社長、今ここでこの案件を取りに来たってこと?」

そう言いながら、日野弦羽は浅見朝治が握りしめている書類にちらりと目をやり、笑みをさらに深くする。

「浅見グループって、立花グループと組みたくて仕方ないんだな。わざわざ浅見機長ご本人が書類を抱...

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