第80章 兄さん、俺を助けてくれないのか?

玉井彩歌が目を覚ますと、進藤雀がソファの向こう端でぼんやりしていた。

スマホを握ったまま、画面を見つめる姿勢で固まっている。いつの間にか画面が消灯していることにも気づいていないらしい。

「雀?」

玉井彩歌が呼びかけ、上体を起こす。

「何考えてるの。そんなに真剣な顔して」

「え? あ、ううん、何でもない」

進藤雀はびくっとして我に返り、ぶんぶんと首を振った。

――さっきの立花晃年の顔が、頭から離れないなんて言えるわけがない。

玉井彩歌は目を細め、明らかに信じていない。

「ほんとに?」

進藤雀の様子が、どこか見覚えがある。

昔、自分が浅見朝治と結婚したばかりの頃。毎日、犬み...

ログインして続きを読む