第83章 日野機長の腕前

そこまで言われたら、玉井彩歌もさすがに断りづらい。

彩歌としては、会社の下にあるカフェで軽く一杯――その程度のつもりだった。ところが日野弦羽は、彼女をそのまま地下駐車場へ連れていく。

弦羽が助手席のドアを開け、手のひらを返して促した。

彩歌は一瞬ためらう。すると弦羽が笑って言う。

「安心して。君をさらったりしないよ。そんなことしたら林田教授に殺される」

「そういう意味じゃ……」

彩歌は苦笑しつつ、結局シートに身を沈めた。

弦羽は車を走らせ、市中心部へ向かう。横目で見ると、彩歌はぼんやりと窓の外を見つめたまま――その表情に、弦羽の眉がわずかに寄った。

彼は何も言わず、自然な動き...

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