第84章 今すぐ浅見家へ戻れ

玉井愛絵はスマホをぎゅっと握りしめ、目をきらきらさせて日野弦羽を見上げた。

興奮のせいで、頬には薄い朱が差している。

日野弦羽は背筋をすっと伸ばしたまま、視線は冷たく距離がある。

「知らない人とは写真、撮らない」

「……知らない人?」

玉井愛絵は一瞬固まり、引きつった笑みを作って縋るように見つめた。

「日野機長、私のこと覚えてませんか? 前にお会いしてます。玉井愛絵です!」

日野弦羽は大して反応しない。両手をポケットに突っ込み、近寄るなと言わんばかりの空気を纏っている。

玉井愛絵の胸に悔しさがちくりと走った。それでも、このまま日野弦羽を逃がす気にはなれない。

日野弦羽だ。

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