第99章 母親になる資格がない

安の名が出た瞬間、玉井彩歌の胸はぎゅっと締めつけられた。

安――身を削って産んだ子。

浅見朝治の顔色は、その名を聞いた途端に、底まで沈んだように暗くなる。

安はここ数日、熱を出して寝込んでいた。なのに母親である玉井彩歌は、見舞いにすら来ない。

母親を名乗る資格があるのか。

「……ふん。子どもなんてどうでもいいんだろ。熱出して苦しんでても放ったらかしで、平気な顔して別の男と逢い引きか」

浅見朝治は歯ぎしり混じりに吐き捨てた。視線が日野弦羽の手にあるクッキーの袋に落ちた瞬間、脇の拳がぎゅっと固く握り締められる。

食べないとしても、玉井彩歌が「他の男」に渡すなんて許せない。

玉井彩...

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