第106章 自らキスを捧げる

四つの目が交錯する。

小島麻央は視線を逸らし、今泉拓真は無表情に尋ねた。「何か用か?」

小島麻央はポケットから腕時計を取り出した。「これを届けに」

「捨てろ」今泉拓真は冷たく言い放った。「汚らわしい」

腕時計を持つ小島麻央の手が微かに震える。「私が触ったから汚いというのなら、北村さんに消毒してもらって、綺麗に拭いてもらえばいいわ。こんなに高価なもの、捨てるのはもったいない」

「自分が汚いと自覚はあったのか」今泉拓真はドア枠に寄りかかり、彼女を冷ややかに見つめる。「昨夜は、お前と日野遥斗の好事の邪魔をしてしまったな。がっかりしたか?」

「してない!」小島麻央は慌てて否定した。

今...

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