第216章 妊活の薬

北村さんが薬を持って部屋に入ってきて、尋ねた。

「奥様、どうして明かりもつけずにいらっしゃるのですか」

「なんでもないわ」

「奥様、どうかお気を悪くなさらないでください」北村さんは月明かりを頼りに彼女のそばへ寄り、慰めるように言った。「旦那様は潔癖症でいらっしゃいます。千田愛由美に触れることなど、どうしてありえましょうか。それに、旦那様がどれほど奥様を愛しておられるか、ご存知のはずです」

「彼が私を愛しているからこそ、どんな代償を払ってでも私を治そうとするのよ」小島麻央は望遠鏡を手に観察を続けた。「多くの場合、愛は人の弱点になるものだから」

「旦那様は奥様の越えてはならない一線をわ...

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