第325章 お金はいらない、彼だけが欲しい

麻央はこれ以上彼女に弁解するつもりはなかった。「もう一度だけ言います、私についてきなさい」

夕実が何か言い返そうと口を開きかけたその時、拓真がすっと立ち上がり、麻央の後を追うように歩き出した。

夕実は密かに唇を噛み締め、しぶしぶ二人の後を追うしかなかった。

一行がエレベーターで上の階へ上がると、そこは明らかに下の階よりも高級な特別診察エリアだった。

「今泉奥様」看護師が恭しく歩み寄ってきた。「ご指示通り、医師たちはすでに揃っております。まずは検査をお受けいただき、後ほど外来担当の専門医も合流してカンファレンスを行う予定です」

「ありがとうございます」麻央は振り返り、拓真を見つめた。...

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