第350章 あなたに見捨てられた人

今泉拓真は二歩で小島麻央に追いつき、その両肩を掴んだ瞬間、自らの行動にハッと息を呑んだ。

一人の女に弁明するなど、本来なら必要のないことだ。

だがどういうわけか、小島麻央の怒りに触れると、胸がざわつき、妙な焦燥感に駆られてしまう。

「今泉拓真、何をするつもりですか」

刑務所で何があったのか、小島麻央自身の記憶にはない。それでも、想像を絶する苦痛に満ちていたことだけは容易に察しがついた。

だからこそ、今泉拓真の顔を見ただけで、本能的な嫌悪感が込み上げてくるのだ。

「手を離してください。さもなければ、容赦しませんよ」

「悪かった」

今泉拓真は彼女の肩から手を離した。

「だが、何...

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