第352章 平野裕司である

「もしもし」電話の向こうから、聞き慣れない声が聞こえてきた。「デパートの清掃員ですが、地下1階の階段でこのスマホを拾いまして」

護衛の男がすぐに駆けつけると、清掃員はスマホを手に持ったままその場で待機していた。

「このスマホの持ち主は!」

「さあ、分かりません」清掃員は困惑したように答えた。「床に落ちていたスマホがずっと鳴っていただけで、近くに人影はありませんでしたから」

護衛の顔からスッと血の気が引いた。「しまった……」

……

宮崎彰宏がその報せを受けたのは、ちょうど会議中のことだった。

彼はガタッと勢いよく立ち上がった。「たった一人の護衛もまともにできんのか!」

「奥様は...

ログインして続きを読む