第353章 記憶を取り戻す

「なら、どうして私たちはすれ違ってしまったの?」小島麻央は彼の方へと首を巡らせた。「電話であなたが誰なのか尋ねた時、私に見捨てられた人間だって言っていたわね」

「つまり、私があなたのことを好きじゃなかったから、二人は結ばれなかったということ?」

「麻央、君が俺を一番必要としていた時、俺は事件に巻き込まれてミャンマーに流され、傍にいてやれなかった。君は病気の祖母を背負い、自身の結婚と引き換えに治療の機会を得たんだ」平野裕司は苦しげに目を閉じた。「すまない……」

「私、何も覚えていないから、謝ってもらう必要はないわ」小島麻央はふっと微笑んだ。「それに、人にはそれぞれの運命があると思うの。き...

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