第364章 小島麻央、キスしてもいいですか

車を降りた瞬間、小島麻央はようやく気づいた。辿り着いたのは――学校だった。

校内に人影はない。今泉拓真は迷いなく麻央の手を引き、正門を抜けてそのまま中へ入っていく。少し距離を置いて、数人のボディーガードが後ろについた。

夜だというのに、構内は驚くほど明るい。街灯だけじゃない。木々には装飾灯が巻きつけられ、ちかちかと柔らかな光が葉の隙間で瞬いている。空気そのものが、どこか甘く澄んで見えた。

「ここ、すごく綺麗」

麻央は思わずスマホを取り出して、ぱしゃり、と撮る。

「もっと早く来ればよかった。美佳も連れてきたのに」

「ここは、俺たちが初めて会った場所だ」

今泉拓真が笑って言う。

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