第370章 中直り

小島麻央の口から死を望む言葉を聞いた時、己が完全に狂ってしまったことを彼は認めていた。

代われるものなら、彼女の痛みをすべて自分が背負いたかった。

だが、それは叶わない。

彼にできる唯一のこと――それは、妥協することだけだった……

松野弘子は首を横に振った。「でも、平野裕司はそう簡単にあなたたちを逃がさないって言っていたじゃない。たとえ離婚したとしても、本当に手を引くとは限らないわ」

「平野裕司の目的は、俺を苦しめることだ。離婚すれば、当然俺は苦しむ。奴の目的はそれで果たされる」今泉拓真は小島麻央の手をきつく握りしめた。「それに、奴は俺の限界がどこにあるかをよく分かっている」

「...

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