第5章
「誰がそんな口をきく度胸をお前に与えたんだ?」
電話の向こうから響く井戸川勇崎の陰湿な問い詰めに、私はただ可笑しさが込み上げてくるのを感じた。
「誰のせいでもないわ。ただ、目が覚めただけよ」
青春も、感情も、思考も。それらを浪費することは、すべからく愚かしく、恥ずべきことだ。
彼が再び怒声を上げる前に、私は努めて冷静に言葉を継いだ。
「井戸川勇崎。もう二度と連絡しないで。私たちはこれで終わりよ」
言い終えるなり一方的に通話を切り、そらで言えるほど馴染んだあの番号を、着信拒否リストへと放り込んだ。
世界が、ようやく静寂を取り戻した。
それからの日々は、かつてないほど...
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