第105章:アッシャー

彼女はもう何時間も身じろぎひとつしていない。

俺は、まだ信用しきれないほどゆっくりで一定のリズムで上下する胸元を見つめる。息が一瞬つかえるたび、モニターが途切れたり、ほんの少しだけ拍子外れに鳴ったりするたびに、俺の心臓は足元をすくわれる。機械のほうが正しいんだ、と自分に言い聞かせる。あれは一拍一拍、脈の波、彼女の血管を流れていく点滴の一滴まで追うように作られているのだと。

だが、機械は彼女を知らない。

だから、俺が確かめる。

三十分おきくらいに、彼女の手首へそっと指を当てる。親指が柔らかな皮膚を撫で、表面のすぐ下にある拍動の点を探り当てる。いつもそこにある。安定している。強い。それでも...

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