チャプター 108: ペニー

コーヒーとレモンケーキの匂いがリビングいっぱいに満ちている。灯りは落とされ、ぬくもりのある色合いで、暖炉の火がぱちぱちと控えめに鳴る。そのせいで、胸の奥に静かに居座る緊張とは不釣り合いなほど、部屋のすべてが居心地よく感じられてしまう。

タイラーの両親は二人掛けのソファにちょこんと腰を下ろしている。向かい側の長ソファには、私の両親が並んで座っていた。私はタイラーの隣に身を寄せ、脚を抱えるように丸める。ひざ掛けの下で、彼の手が私の太ももにそっと触れている。

アッシャーはいつもと同じ場所にいる。部屋の向こう側の一人掛けの椅子。みんなから一番遠いのに、私の視界のど真ん中にいる場所だ。

彼はあまり...

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