第109章:アッシャー

彼女は、ぞっとするほど怯えた顔をしている。

少なくとも見た目にはそうじゃない。この部屋にいる誰の目にも、そうは映っていない。だが、俺にはわかる。あの目つき――笑顔を貼りつけたまま、逃げ道を十通りも計算しているときの目だ。

そして、その理由も痛いほどわかっている。

タイラーが最初にその旅行の話を持ち出したときのことを思い出す。俺たちはまだ彼女の家に住まわせてもらっていた。ペニーはキッチンに立って、髪を後ろで結び、鎧みたいにマグカップを両手で抱えていた。タイラーは俺たち二人の前で彼女に聞いた。何気ない口調で、「一週間、どこかに逃げよう」だの、友だちと過ごしてストレスを発散しようだのと。

彼...

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