第139章:アッシャー

一時間は経ったはずだ。もう少しかもしれない。

暖炉の火は熾火へと落ち、ぱちぱちという爆ぜる音も、薪が沈み込むにつれて低いしゅうっという音に変わった。閉じたまぶたの裏で揺れる暖かな光にも、古い紙と革の匂いにも、自分の呼吸の一定のリズムにも、すっかり慣れてしまった。

ほとんど……穏やかだ。

俺にとっては、めったにないことだ。

静けさのせいで半分しびれたみたいになり、体は重い。肩と背骨から、張りつめていたものがじわじわと抜けていく。この部屋の外は、笑い声と足早な物音、誰かが誰かを驚かせたときの悲鳴が、くぐもった塊になって混ざり合っている。だが、ここは? 静かだ。誰にも邪魔されない。

そのと...

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