第168章:アッシャー

訓練してきたことも、生き延びてきたことも全部わかっているのに、それでも身体がほんの少し震えるのを感じる。

彼女は俺にぴたりと寄り添っている。温かくて、確かにそこにいる。指先が俺の傷痕の縁をなぞる。嫌悪しているみたいじゃない。そこに死の匂いを嗅ぎ取って身を引くみたいでもない。

知るべきなんだ。

そう、自分に言い聞かせ続けてきた。

誰にも話したことがない。両親にも、タイラーにも、帰還したとき軍が押しつけてきたくそったれなセラピストにさえ。彼女は上官から要点だけを受け取っただけだ。箇条書きのまとめ。物語としては求めなかったし、俺も差し出さなかった。語り直したことなんて、一度もない。――今まで...

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