第180章:アッシャー

運転しているのに、ハンドルを握る手に力が入りすぎて、指の関節が白く浮き出ている。

助手席にはペニーがいる。脚を体の下に丸め、髪はまだ出来事の名残みたいに少し乱れていて、かすかに震えるその細い身体が、胸の奥をえぐる。俺は何度も盗み見る。口元の端がひくひくと震えていて、泣くまいと必死に堪えているみたいだった。

そして俺は――

俺は、腹の底から煮えくり返っている。

観客席の下では、どうにか抑えた。ぎりぎりだった。訓練が体を動かしてくれた。冷静に。計算して。手早く。

でも今は? 今、彼女が無事で、タイラーの手を離れ、こうして隣にいて、それでもまだ彼女の肌から立ちのぼる恐怖の匂いが鼻に残っている...

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