チャプター 192: ペニー

クローゼットの前に立ち尽くしている。身につけているのはブラレットと黒いレギンスだけ。片手ではヘアブラシを落ち着きなくねじり、まるでパ・ド・ドゥの最中に落としそうなバトンみたいに握りしめていた。ヘイズ家との夕食まであと二十分なのに、まだドレスが決められない。

鏡の中の私は瞬きを返してくる。汗ばんだ手のひら、震える顎。アッシャーの両親を、母と父が招いたことがないわけじゃない。去年のクリスマスにはお茶会もしたし、七月にはバーベキューだって。けれど今夜は――今夜だけは、どうしても完璧でいたい。アッシャーに、私は……誇らしく「自分のものだ」と呼べる相手だと思ってほしい。もう、彼がそう思っているのだと、...

ログインして続きを読む