第195章:アッシャー

基地は外から見ると、たいしたものには見えない。金網の向こうに背の低い建物がいくつか並び、窓はあっても中の気配をいっさい映さない。だが近づいた瞬間、ペニーの身体はこわばった。背筋がすっと伸び、膝の上で組まれた手に力がこもる。

彼女の知っている世界とは違う。この門には温もりがない。コンクリートにも鋼にも、柔らかさというものが欠片もない。

あるのは規則だけ。重さだけ。

検問所で車はのろのろと進む。ひとりがゲート脇に立ち、もうひとりが車の周りを回り込む。胸元に吊った小銃に、片手を気軽に添えたまま。ペニーの目が、瞬きもせずにその男を追った。

横目で見る。膝に当たる指の関節が白い。

「なあ」俺は...

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