第203章:アッシャー

ドアをくぐってから、頭の中がいっこうに静まらない。

ナイトの声がいまだ後頭部の奥で反響している。古い記憶の底から引きずり出され、彼が残していった言葉に絡め取られて。胸が締めつけられる。肺が、全部を抱え込もうとしているみたいだ――罪悪感も、痛みも、どうしようもない無力感も。

けれど隣のペニーは、静かだった。

柔らかく。

いま、ここにいる。

彼女はソファの端にそっと身を収め、膝を抱え込むように引き寄せている。片手は俺の手の上に重ねられたまま。窓の光に顔を傾け、目は潤んで、頬は赤い。そして――頬骨のカーブに引っかかるように、ひと筋の涙がある。まだ落ちてもいないのに。

それが今夜の何よりも...

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