第229章:ペニー

目覚めると、静けさがあった。

一瞬、自分がどこにいるのか分からなくなる。見慣れない天井。カーテンの縁から差し込む陽光が、やわらかな灰色の筋になって部屋に落ちている。けれど次の瞬間、胸を煉瓦で殴られたみたいに思い出す。

ブーマーのベッド。

アッシャーのじゃない。

肋骨の奥の痛みは怪我のせいじゃない――不在のせいだ。

昨夜と同じ服のままだった。タイツの上にジョガーパンツ、薄手のセーターが肌に張りついている。恐怖の汗は、結局きれいに引いてはくれなかった。毛布をめくり、音を立てないように部屋を出る。

廊下は薄暗い。洗いたてのリネンみたいな匂いに、かすかな柑橘が混じっている。突き当たりまで行...

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