第245章:アッシャー

店の中はあたたかく、ぎゅうぎゅうに混み合い、声と箸が器に当たる音がざわめきになって満ちている。案内係がろくに挨拶をする間もなく、隣でミラとペニーが吹き出した。

二人はまだ、スタジオでの警備員と、ヘアバンドと、ハトが絡む身内ネタで盛り上がっている。聞かないでおく。

ペニーがミラの手首をつかむ。目はまだきらきらしていた。「すぐ戻るね。お手洗い」

ミラが振り返りざまに俺へウィンクする。「あんまり寂しがらないでね」

ペニーがやわらかく微笑む。歩き去ってからも、いつまでも残るあの笑み。ミラと並んで角を曲がり、二人ともくすくす笑いながら姿を消すまで、俺の視線は追いかけていた。

店内を見回し、彼を...

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