チャプター 249: ペニー

学校の廊下の匂いは、いつだって同じだ――安っぽい消毒液と鉛筆の削りカス、それに、三か月前に誰かがロッカーの中でこぼしたまま、いまだ誰も勇気を出して片づけられずにいる何かの匂い。

別に安心する匂いではないけれど、馴染みはある。

そして冬休みという名の大混乱のあとでは、その「馴染み」が贈り物みたいに感じられるのだ。

人波をすり抜けながら、パーカーの袖を手首まで引っぱって下ろす。誰かのスマホをのぞき込んで固まっている一年生の一団を避け、落ちていたプロテインバーの包み紙をオリンピック競技みたいにまたいでいく。みんながみんな、相手の声にかぶせるように喋っている――ロッカーの扉がガンガン鳴り、バインダ...

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