第269話:ペニー

劇場の外の空気は冷たいのに、ほとんど感じない。ラメが肌にまとわりつき、笑い続けた頬がじんじん痛む。それでもアドレナリンが、皮膚の下で二つ目の鼓動みたいに脈打っている。何もかもが大きく感じる――明るく感じる――世界の音量がぐいっと上げられて、まだ元に戻り方を思い出せていないみたいに。みんなまだここにいて、まだ浮き足立っていて、口々にしゃべり、抱き合って、笑っている。私はその真ん中に立ったまま、ふわふわと浮いていた。

そのとき、母が私の手を取って、きゅっと握った。「予約してあるの」やわらかい声だった。押しつけたくないと気にしているみたいに。「念のためにね。あなたの好きなおすし屋さん。もう遅いし、...

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